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そしてこのクラスのアイドル的存在の女の子が僕の彼女である。
「あぁ! み、みつきさん! お、おはようごさいます!」
大樹がみつきの姿を見るとそわそわし始める。もじもじ体をくねくねしており、正直言って気味が悪かった。
「おはよう、織守くん」
にっこりと大樹に微笑みかける。
「おい遼、俺……死んでもいいや」
血を吐いて白目を剥いていた。もちろん嘘であるが、大樹は幸せな笑みを浮かべて昇天していた。
「ねぇねぇ? 織守くんは何しているの?」
「さ、さぁ……? 多分生涯に悔いがないんじゃないのかな?」
僕は曖昧にそれに答える。みつきは意味がわからないよぉと呟いていた。
意味がわかったら逆に凄いよ。
「そういえば、遼くん? さっき何話してたの? 転校生とか聞こえたけど」
「あ、うん。なんか、転校生が来るらしいよ」
「おぉ~? 楽しみ~。男の子かな? 女の子かな?」
「超美少女らしいよ」
「ふ~ん……美少女なんだ……?」
しまった! 地雷を踏んでしまった。みつきはジト目で僕を見つめてた。
「えと……大樹がそう言ってたから」
「へぇー? やっぱり遼くんも気になるんだ……? ふーん? 彼女いるのに?」
凍りそうな声に僕は思わず身体を震わしてしまう。
みつきはただ笑っていた。逆にそれが怖い。一体何をされるか……。考えるだけで身体が震てくる。
僕はあることを思い出していた。それは、みつきと付き合って数日後に僕にラブレターが来た時のことだった。
僕は正直言って良いところなんてあんまりない。顔もかっこ良くなければ、勉強も運動もそこそこ。
平凡と言えば平凡だ。正直言って何で僕とみつきが付き合っていられるんだろうと思ったこともある。いや、今でも思っている。
そんな僕に初めてのラブレターがきた。少し嬉しかったけど、みつきがいるから読んできっちり断ろうと思ったが、みつきにそれを邪魔された。
みつきは何も言わず僕からラブレターを奪うと、それを破り捨てた。何回も何回も千切って千切って千切りまくった。
そして何もなかったような顔をし、僕に笑いかけていた。そう今のように……。
「えと、僕にはみつきが……いるから」
恐怖で言葉が喉に詰まったがなんとか声に出すことが出来た。
実はこの言葉はあの時に言った言葉とまるっきり同じだった。
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