第一画 転校!? マジで!?

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 その女子は素っ気なく手のひらに顔を置いたまま、 「何故かは知らないけど男子は少ないのよ。そうね……一学年に二十人くらいじゃないの?」 「そんなに少ないのか?」  隼兎が驚き混じりの声でそう聞くと、その女子は静かにコクリと頷いた。 「まぁスカウトする人があれじゃあねぇ……」  その視線は教卓の前に立っている檜原先生に注がれていた。  隼兎はハハッ、と苦笑いをすることしか出来なかった。 「あっ、あんたの名前何だっけ?」 (自分の名前は教えないくせに人の名前は聞きたがるのか……。ってか自己紹介をちゃんと聞いとけよッ!!)  そう心の中で色々なことにツッコミを入れながらも、もう一度自己紹介をする。 「はぁ……陽野 隼兎だ。覚えたか?」 「ふぅん……陽野 隼兎ね」  その女子は何か自分だけ納得しながら隼兎の言ったことを繰り返すように呟く。  ここで隼兎がもう一度名前を聞いてみることに。 「で、お前の名前は?」  その女子はいまだに手のひらに顔を置いたまま、顔だけこちらに向け、 「空橋 ミズキ(そらはし みずき)よ」  すんなりと言ってくれた。 「そうか。じゃあ何て呼べばいい?」 「何でもいいわよ」  隼兎は再びそうか、と呟き、数秒程腕を組んで何かを考えていたが、すぐに組んでいる腕を解き、 「じゃあミズキって呼ばせてもらう」  その女子……いや、ミズキは驚いた顔をする。 「い……いきなり呼び捨て!? ししししかも下の名前で!?」  さっきまでの素っ気のなさは何処へ行ったのやら、今のミズキは少し焦っている。 「別にいいだろ。減るもんじゃねぇし。あっ、それとも彼氏がいるのか? いるんなら空橋と呼ぶが……」  ミズキは顔を赤らめて、 「彼氏なんかいないもん!!」  ガタンと立ち上がる。  もちろんみんなの視線がミズキにアイビームをくらわす。  ミズキもそれに気がつき、より一層顔を赤らめて静かに座った。
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