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「はいはぁい、そこニヤニヤしない~」
またもや准が注意された。
だが准はガタンとイスを立ち、
「先生!! 漢字で闘うってどういうことですか!?」
その言葉を聞き檜原先生は、あぁ、と呟くと、
「そういえば夜川君と陽野君に詳しいこと言ってなかったわね」
と言うと、赤いスーツの胸ポケットからここに来る時に見た白いペンを取り出した。
「さっき簡単に説明したけど、このペンで空中に文字を書くとその文字が具現化するの」
ここまでは凛と言ったことと対して変わらない。
だが違うのはここから。
「いい? 総画数が十画以内なら誰でも簡単に習得出来るの。でも十一画以上は努力と器の大きさが必要なの」
「努力と器の大きさ?」
「そう。簡単に言うと心の広さね。これは個人の差はあるけど、努力すればいくらでも成長するわ」
准は立ち尽くしたまま、腕を組んだ。
そして何かを考え始めた。
「うぅむ……」
「まだ聞きたいことある?」
檜原が教卓に両手を付き、少し前のめりになる。
と、ここで隼兎が外の景色から教室内に戻し、
「先生」
「何、陽野君?」
隼兎は肘を付き、
「闘うって言ってましたけど、これって一応裏の世界的なもんですよね?」
隼兎の言い方をちょっと分かりやすいように説明すると、¨漢字が具現化するということは公の場に出してはいけないんですよね?¨ということである。
「まぁそういうことになるわね」
「じゃあその漢字で闘うっていう学校は幾つ位あるんです?」
檜原先生は顔を上げ、うぅんと顎に人差し指を当てて、
「そうね……五十校くらいあるでしょうね」
(何ですと!?)
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