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夏といえば蝉。
その鳴き声は夏らしさを強調するが、それ以上に暑さを強調してしまう。
「暑いぃぃぃいい……」
「暑いっていうともっと暑くなっちまうぞ?」
一人は片手にカバンを持ち、肩をガックリと落としながら歩く。
もう一人は肩掛けカバンを背負い、ズボンのポケットに手を突っ込んでいる。
これが主人公の夜川 准(よるかわ じゅん)と陽野 隼兎(ようの はやと)である。
二人は今、丘の上にある学校に続く、ゆるく長い登り坂を歩いている途中だ。
「んじゃあ寒いぃぃぃいい……」
「いや、そういう問題じゃなくてだな……」
隼兎は隣にいる准をやれやれといった様子で見る。
道の両端に等距離で植えられた木々が風に吹かれてざわめいた。![image=275780642.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/275780642.jpg?width=800&format=jpg)
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