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被害者はミス研顧問の大学講師、木村 一(きむら はじめ)先生。死因は毒物による中毒死。口元からアーモンド臭がすることから青酸カリによる中毒死と思われる。
鑑識の結果、青酸カリはあの生き血を見立てた炭酸抜きコーラに入っていたようだ。
ミス研で今回の舞台に携わった生徒は以下の4人。毒物を混入する機会があるとすればこの4人が最も怪しい。
中川 忍(なかがわ しのぶ)
今回の監督、段取りを取り仕切る。
新田 あやか(にった あやか)
舞台の音楽担当。
野木 明美(のぎ あけみ)
舞台の照明担当。
田中 洋子(たなか ようこ)
舞台の小道具設置担当。
この中にコーラに毒を仕掛けることが出来た人間がいるはずなのだ。
が、僕はふともっと重要なことを思い出した。
『先輩、どうして包帯男役だったんですか?』
たしか主役のジャックだったはずなのだ。
『いや、劇がはじまる最終の打ち合わせの時に先生から役を変わろうと申し出があったのだ。
生徒を騙してあっと言わせたいという理由でね。
だから変わったんだ。』
『そうなんですか。まったく知りませんでした。』
『そりゃそうだよ。誰も知らないんじゃないかな?あ、中川さんは知っているよ。その最終の打ち合わせの時一緒にいたからね。』
僕は中川さんを呼んだ。
『君は先生と先輩が入れ替わることを知っていたんだね?それを誰かに話したかな?』
『いえ。皆を驚かせるんだって先生が言っていたから誰にも話していません。』
とはっきり答えた。
ということは・・・。
嫌な予感がよぎる。
『先輩、もしかして今回入れ替わることが誰も知らない事実だったんですから・・・』
先輩も気付いていたようだ。
『ああ。どうやら僕が狙われたみたいだね・・・。』
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