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『うわあぁぁぁ!!!!!』
あまりの驚きで布団の中で飛び上がってしまった。となりを見ると先輩がもう布団から起き上がり、乱れた浴衣の裾を整えている。
『いくぞ、木津谷くん!』
『はい!!』
僕はやっとの思いで布団から這い出るとすぐ先輩の後を追った。
どうやら声がしたのは山荘のトイレの方だ。二人でどたどたと走っていくと一人の男性が腰を抜かして倒れていた。
『どうしました??』
僕が聞いてもある部分を指差し震えている。その指差すところにあるのは小さな小窓である。鉄格子がはめてあり窓もはめ殺しになっている。確か倉庫という説明を受けている部屋だったなと思った。
すると先輩はその小窓を覗きこんだ。そして僕を手招きする。そこには信じられない光景が広がっていた。
一人の男性が薄暗い部屋の中央に仰向けに倒れていた。見ただけで息絶えているのが分かるほどの出血が見られる。
驚きのあまり開かれたままの目が悪夢を物語っていた。
先輩と僕はすぐに倉庫の扉の前に立った。が、押しても引いても横にスライドさせてもドアが開かない。どうやら鍵が掛かっているようだった。
騒ぎを駆けつけ女将さんがやってきた。すぐに先輩が女将さんに事情を説明しお願いする。
『すぐにこの倉庫の鍵を持ってきてください!』
だが女将さんの返答は耳を疑う答えだった。
........
『この倉庫には鍵がないのです。一応ついてはいますが
..........
中からしか施錠できません。』
『え??』
珍しく先輩が動揺したのを見た。説明によるとこの倉庫は先代が作ったらしいのだが少し変わり者で潜水艦が大好きだったらしい。その影響でこの倉庫の鍵は室内からまるで潜水艦のハッチのようなハンドルを回して施錠する鍵が取り付けられているということだった。
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