不可能犯罪

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『そうか!警部、残りの宿泊客を全員集めて下さい!遺体発見から今までに僕達が会っていない客が対象です!』 急に元気になった先輩を見て正直驚いたが何か事件の糸口を見つけたのだろう。 警部が走っていく姿を見届けると先輩と僕は倉庫の中に入った。 遺体は全裸で近くで見るとさらに分かるが首にナイフでの大きな傷がある。失血死と思われる。 服は部屋の片隅にまとめて置かれており、下着まで全部揃っていた。凶器のナイフも無造作に置いてある。 『先輩!ちょっと来てください!!』 僕は先輩を呼んだ。それは不自然なあるものを見つけたからだ。 丁度遺体の斜め前方に何か文字のようなものが残されていた。 『なんでしょうか、これは?アルファベットのN、いや反対向いてますね・・・』 『確かにそうだね。被害者の指には何か痕跡が残っているかい?』 先輩の指示で見てみると被害者の右手の人差し指に黒くなった汚れが見られる。 『指先が汚れています。』 『ということは、ダイイングメッセージかも知れないね。』 ダイイングメッセージ・・・ 被害者が死ぬ間際、犯人を指し示す為に残すメッセージ。 『ということはこの文字が関係する人間が怪しいということですか?』 『分からない。犯人の偽装工作の可能性も捨てきれないからね。今は結論を出せないね。』 『И』 これがそのダイイングメッセージと思われる文字である。
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