不可能犯罪

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やがて警部が集めた人間の話を聞くこととなった。 被害者は金田 優一(かねだ ゆういち) 彼は登山サークルに参加しており今日はそのメンバーと一緒にここに宿泊していた。 そしてこの日、宿泊していたのは僕と先輩、そして彼らだけだった。 メンバーは被害者を入れて計5人。順に、 轟 四郎(とどろき しろう) 三上 大介(みかみ だいすけ) 井伊 咲(いい さき) 脇 亮子(わき りょうこ) 遺体発見時、この4人はそれぞれ部屋に一人で居たと証言している。 だがいくら話しを聞いても事件が進展しそうな事柄は出てこなかった。 その後ずっと僕は考えていた。あのダイイングメッセージの謎、何故あの時ドアは施錠されていたのか? また何故被害者は全裸だったのか? 素直に僕は先輩に聞いてみた。 『ダイイングメッセージに関してはね、これは僕の推理によるとおそらく本物だと思うよ。もし偽装工作するんであれば犯人はもっと分かりやすい文字を選んだはずだ。それこそ一発で誰かを指し示すことが出来る何かをね。 それから全裸だったのは一つの答えを導き出すきっかけになると思う。       ............ 木津谷くんはどんな時全裸になるんだい?』 『え・・・お風呂に入る時とか・・・ですかね。』 『そうだね。ただもう一つ自ら全裸になる可能性がある時があると思うよ。それがキーポイントさ。 それから密室の謎だけどね、あれはもう解けたよ。 単純なことだったんだ。 ...................... 僕達が難しく考えすぎていたのさ。』 先輩はさらっというが僕はまだ事件の真相に少しも近づいていないようだ。
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