不可能犯罪-謎解き編-

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『どういう事ですか?一体誰が犯人なんです?』 『最初から検証してみよう。まずあの完全密室からだ。』 完全密室・・・ まさにその通りである。室内に出入りできる所は一箇所のみ。抜け道などは一切ない。唯一ある窓は、はめ殺しの上、鉄格子がはまっていた。しかもかなり小さい。出入りなどとてもできたものではない。     ................ 『あれは非常に簡単なものだった。僕達が勝手に難しく考えていただけなんだ。』 『難しく考えていた?』 『そう。おそらくあの時、犯人には予想外の事が起こったんだ。』 『先輩、それは一体・・・』  .................. 『遺体発見が早すぎたのさ。犯人が思っていたよりもずっと。』 『早すぎたとは?』 『おそらく凶行に及んだ直後だったんじゃないかな? 犯人は意図して密室を作ったんじゃない。 ........................ 密室にせざるを得なかった。だって外には僕達がいたんだから。        .......... つまりあの時、室内にいたのさ。窓際の下の壁に張り付いてね。 そして僕達が警部の到着を待つ間に抜け出した。 だから警部が確かめた時ドアは開いていたんだ。』 『なるほど・・・』 『それともう一つ、被害者が全裸だったという事実がある。木津谷くんはこう答えたね、全裸になるのはお風呂の時と。』 『はい。そうです。』 『もう一つの可能性には考え至ったかな?』 『いえ。それはどんなときですか?』 『あのような人目につかない室内で全裸になることといったら・・・情事しかないだろ?』 『え??じゃあ、その最中に?』 『そういう事。だから驚いたんだろう、被害者は。 そしてこの事はある事実を浮かび上がらせる。』 『犯人は女性・・・』 『その通り!』
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