不可能犯罪-謎解き編-

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『でも先輩、女性といえばたった一人しかいません。』     ............ 『そう。犯人は脇さんだ!』 『ですが先輩、犯行時刻と思われる9時には脇さんも含めた全員のアリバイが成立していますよ。彼女には無理ですよ。』 『そう。それこそ彼女が仕組んだアリバイトリックだ。 まず第二の被害者のポケットから出てきた呼び出し状。あれは犯人が書いたものではない。あれはおそらく被害者が犯人を呼び出したものだと思われる。 それを逆手に取ったのさ。あの紙に9時と書いてあれば我々は単純にその時間に待ち合わせて殺されたと思い込んでしまう。そしてその時間、アリバイを作っておけば鉄壁のアリバイを作り上げることができるんだから。 そう。あの何回もなぞった跡のある9という数字は偽造されたものだ。 .................... 本当は7だったんだよ。 それを9に書き換えたんだ。上から何回もなぞってね。』 『!!!! じゃあ、犯行時刻は7時だった・・・』 『そう。そしてあの3人の中で7時から9時の間、完全にアリバイがあるのは2人だけ。脇さんだけは7時から30分間、アリバイがない。』 『アリバイが崩れた・・・ じゃあ、先輩あのダイイングメッセージは?』 『ああ、あれは脇さんを指し示している。ただ、完全に出来上がってはいないけどね。』 『途中ですか?』 『そうなんだ。あと一歩というところで被害者は力尽きたんだろう。あれはイニシャルだよ。 Wと書きたかったが途中のИで終わってしまったんだ。 だから余計謎が深まってしまったんだね。』
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