4つの殺意

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『なるほど。全員が容疑者で動機があり、しかも殺害行動を取っている。そしてその中の誰かが、被害者を殺害した。 ということかい?』 『はい。』 『じゃあ全員容疑を認めているんだね?』 『いえ。それがそうではないんです。全員が否認しています。理由は、一度試みたがそれでは被害者を殺害することが出来なかったと主張しているのです。』 『ん~、この期に及んで否認かぁ。 よし、じゃあ忠実にその時の状況を再現してみよう。会話から行動から全てね。容疑者は全員いるんだろ? じゃあ、警部殿、被害者役をやってください。』 『な!?俺がか?』 『はい、適任じゃないですか。そんなとこに突っ立ってないで協力してください!』 ということで別室に移動、容疑者達に事情を説明し、さっそく当時を再現することとなった。 まず、状況としては全員が別室におり被害者が全員の各部屋を巡って最後自室で死亡したというのがあらすじである。 『では再現してもらいましょう。まずは、最初三井さんですね、被害者は一番最初にあなたの部屋へいったようだ。』 『はい。分かりました。』 と三井が演技を開始する。 『私がこの部屋で待機しているとドアが開き、一之瀬が入ってきました。にやにやとしながら私にまたあの融資を頼んだ時の話を蒸し返してきました。頭にきた私は飲み物をいれようといって紅茶を入れました。その時、青酸カリを .................. 一粒、カップの中に入れました。 いざ出そうとした時、ドアがノックされ秘書の楠田さんが入ってきました。 私は犯行がばれると思い、自分用に用意した毒の入っていない方を一之瀬に差出し、毒入りを自分の方に置きました。紅茶をおいしそうに飲みながら一之瀬は話をしていました。 やがて楠田さんと一緒に部屋を出て行きました。 これが全てです。私はあいつを殺そうとしましたが、結局 ........................ 殺害することは出来ませんでした。』
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