4つの殺意

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『なるほど。次は楠田さん、あなたですね。ほら、警部殿、ちゃんと演技して下さいね。』 と先輩。 『分かっておる。ちゃんとやっているじゃないか!』 と警部。 その警部はそのまま楠田さんについていく。 楠田さんが語り始めた。 『私はこのように社長と一緒に自室に入りました。最終の打ち合わせがあった為です。その時、社長がまたあの脅迫をしてきました。今晩空いているかという内容でした。嫌気がさした私は飲み物を用意し毒を混入しました。いざ社長に出そうとした時、ドアが開いて奥様とその後三井さんが来られました。 で、奥様の顔を見るなり社長は不機嫌になり部屋を出て行かれました。 その時私は、はっとし社長にピルケースを渡すのを忘れていたことに気付きました。』 『ピルケース?』 『ええ。社長はいつも安定剤を一日一錠飲んでおられるのです。ピンクのピルケースにいつも一錠いれており私がお渡ししています。』 『なるほど。で、現場にそれはあったのかい?木津谷くん。』 『すいません、報告漏れですね。確かにありました。空のピンクのピルケースが。』 『分かりました。続きをどうぞ。』 『はい。私はそれをカバンから出すと社長にもっていこうとしました。その時三井さんが、僕が行ってくるよ。外の空気も吸いたいしと言って下さったので三井さんにピルケースを渡そうとしました。少し距離があったので奥様に一度渡して、奥様から三井さんに渡してもらいました。 これで以上です。私は社長を殺そうとしましたがそれは失敗しました。だから私は社長  ........................ を殺害することは出来ませんでした。』 『なるほど。三井さん、奥さん、今の彼女の証言に間違いはないですか?』 『まったくその通りです。』 『付け加えることもないもないな。』 と二人とも頷いた。
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