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『完璧でしたね。途中まで。だがあなたは一つだけミスをした。決定的なミスをね!』
三井は黙って先輩を見つめている。
『あなたは飲み物に毒物を仕掛けた跡、被害者が飲まなかったのでかねてからの計画である、もうひとつのプランに移った。ピルケースに毒を仕掛けるという方法に。』
『じゃあ、何か!俺がケースの中身を入れ替えたという事か!そんな証拠、どこにあるんだよ!!』
三井はついに先輩に牙を向いた。確かに、先輩の推理通りピルケースを楠田さんから預かった時から被害者に手渡すまでの間、中身を入れ替えたとすると三井が犯人であるということで筋は通る。
が、証拠がない!
....................
『誰もカプセルを入れ替えたとは言っていませんよ、三井さん。
それにあなたが犯人だという決定的な証拠があるんです!!』
『何!!』
『それがあなたが犯した唯一のミスなんですよ。
木津谷くん、さっきの質問だけど、被害者のそばにあったピルケースには指紋があったよね。それは誰のものだったかな?』
『え?
あ、はい、被害者のものとおそらくピルケースを手渡した時についたと思われる三井さんの指紋です。』
『他にはついていなかったんだね?』
『はい。二人分だけです。』
『ね、三井さん、おかしいでしょ?』
『はぁ!俺の指紋がついてるのは当然だろ!!何がおかしいんだよ!!』
先輩はニヤリとしてこう言った。
..................
『指紋がね、足らないんですよ!』
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