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『不審に思った彼女はドアを開け室内を覗きました。すると部屋の中央に誰か倒れていたのが見えたので近寄ると被害者だったようです。
元々体が弱いのを知っていたので大変だと思い、彼女を抱き起こしました。その時初めて大量の出血に気付き、その後は記憶が曖昧(あいまい)になっているようです。ただ、物音がして窓を見ると誰かが走り去っていく音を聞いたと言っています。
その後少し遅れて田代さんがやってきました。その時マンションの敷地内から走り去る人間を見たと証言しています。そして驚いたことにその走り去った人間に心当たりがあると二人共証言しました。どうやら被害者はストーカー被害にあっていたようです。目撃証言も多数あり、やがて一人の男が浮かびました。
山城 健二(やましろ けんじ)
すぐに身柄を押さえて拘束しています。
窓枠についていた指紋も山城のものと一致しましたし、所持品の中に小さなカナヅチをもっていました。そのカナヅチからもガラスの小さな破片が検出されています。
間違いなく犯人は山城だと思うのですが、まったく自供せず否認しています。
これが今回の事件のあらすじです。いかがですか?先輩。』
僕は先輩を見た。先輩は目を閉じて考えていたようだが、首を振りながら答えた。
『もう少し詳しい話を聞きたいね。関係者から話を聞けるかな?』
『では全員一室に集めましょうか?』
『そしてくれるとありがたい。』
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