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夏休み最終日のことだ。
ボクの通う高校で自殺者が出た。
跳び降り自殺だった。
本校舎の屋上。
地上からおよそ25メートルの位置から真っ逆様に落下し、地面に叩き付けられた死体は見るも無残な状態だったらしい。
この高校に在籍していた男子生徒である彼は、しかし自殺するような人柄ではなく、どちらかと言うと教室の中心から少しズレた場所で笑うような、そんな――人だった。
イジメにあっていたというわけでもないし、家庭環境も良好。
およそ自殺なんかとは無縁の存在であった彼は、周りの予想を裏切って――否、予想だにさせず、跳んだ。
理由は不明。
遺書らしきモノも発見されてはいない。
すわ殺人事件かという状況にもなったが、彼の人柄を考えると、どうもそれも無さそうだ。
殺されるような恨みを抱かれるほど誰かと深い付き合いをしていた様子もない。
かといって、誰とも交流が無かったのかというとそうでもない。
友人は多い方だったそうだ。
友人は多いが、友達は少ない。
付かず離れず、微妙な距離感をそれと感じさせず、しかし、それとなく匂わせながら。
そういう、ある種の厭世的な雰囲気を持っていた、彼。
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