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だから、全校集会でその話しを校長がした時も、なんとも微妙な空気が流れた。 それ程親しくなかったせいで、悲しくても本当に親しかった人に遠慮してしまって泣くに泣けず、だからと言って関係無いだなんて掃き捨てるような間柄でもなかった。 そんな解り辛い心理のせいで、朝の講堂は、啜り泣く一部の生徒と気まずそうに黙り込む生徒とにわかれた。 空気を読めない教頭が解散を宣言した後も、講堂にはポツリポツリと生徒の集団が残っていたが、その中で泣いていたのは1人2人で、あとはどうやら、慰め要員だったようだ。 はて、とボクは疑問を抱いた。 跳び降りて、自殺した彼。 友人は多いが、友達は少なかった彼だが、友人と友達の、この温度差はなんだろうか? 確かに、そこそこ親しかった友人と親しかった友達とでは受けたショックの差は違うだろう。 しかし、それはこれほど顕著なものだろうか? こんな、泣き出す生徒が数人だけだなんていうような、他の生徒が遠慮してしまうような、そんな人間関係交友図関係図が作り上げられるものだろうか。 彼がそういうような人柄だったのだと言われればそれで終わりなのだが、どうもボクには――腑に落ちない。
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