1

7/49
前へ
/49ページ
次へ
「……兄は……兄は、どんな人だったんですか?」 「それはキミの方がよくわかっているんじゃない?なにせ、妹だったんだから」 「そうじゃなくって、その……学校の中での兄、です」 「学校の中」 「……正直、わからないんです。どうして兄が自殺なんてしたのか。……私の前では、自殺する前の日までいつも通りの様子でした」 「……」 「なのに、朝起きて、兄の部屋に行ったらもう……居なく……て…………」 そのまま、ぐすぐすと嗚咽を漏らしだす。 どうも、色々と悲しいことを思い出してしまったみたいだ。 さあて……どうしたものか…… 「……君、今日学校は?」 「え……?」 うるうると涙を湛えた瞳でボクを見る。 「学校。今日は平日だから、授業があっているんじゃないの?」 「あ、いえ。喪中ですから、学校は休んでます」 喪中にこんなとこ来てんのか、この娘…… 「じゃあ、とりあえず今日は空いてるわけだね?」 「は、はい……そうです」 「よし。それなら行こうか」 「え?あの……?」 「んん?イヤ?」 「いえ、そうじゃなくて……いったいどこへ?」 「どこへって、そりゃあ勿論、キミのお兄さんのお友達のところへ、だよ」
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加