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「記憶喪失の事は聞いた。…お前には信じられないかもしれない…。だが、お医者様や海斗君が話す事は全て真実なんだよ遊里。」
ゆっくりと語り、お義父さんは遊里の手を握った。
「だから…海斗君を責めるのはやめなさい。お前達は本当に…本当に愛し合っているんだから。」
お義父さんが言ってくれた事が嬉しい。
愛し合っていた、ではなく。
愛し合っている、と…確かにそう言ってくれた。
そうだ。
記憶がなくなったからと言って二人が愛し合った日々は嘘じゃない。
俺達はまだ……愛し合っているはずだ。
「お父さんまで…」
しかし。
遊里には信じ難い事なんだろう。
目に涙をたくさん溜めて、お義父さんを見つめた。
「私が…私が昨日旦那様に何をされたか知らないからお父さんはっ…」
「知っているよ。…遊里と海斗君の間にあった事は…遊里が話してくれた。だが、遊里はそれでも海斗君を愛していると言ったじゃないか。海斗君は本当は優しい人で、愛に溢れた人だと…お前はもう知っているはずなんだよ。」
「っ…」
お父さんの言葉に、遊里が静かに涙を流す。
「う…そよ…。私がこんな人の事…嘘よおぉ!!!!」
その叫びは、俺の心を強烈にえぐった。
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