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考えてみれば、いや考えなくても確かに俺は酷い男だった。
父親の会社の借金のカタに、と遊里を買い。
俺に初めてを奪われるのは嫌だからと、他の男に抱かれてきた遊里を乱暴に抱いた。
最初は脅迫じみた関係だったのだ。
……その頃の事までしか覚えていないのだから、遊里の今の反応は正しいのかもしれない。
だが…俺の記憶にはしっかりと残っているのだ。
あの日から大事に育んできた…二人の歴史が。
「…海斗君、すまないね。」
泣き疲れて眠る遊里を見つめたまま、お義父さんが言う。
「…いえ。ありがとうございました…。」
深々と頭を下げるとお義父さんが俺に向き直った。
「きっと、思い出すよ。大丈夫…二人はあんなに愛し合っていたのだから。だから…遊里を責めないでやって下さいっ……」
向き直ったお義父さんの顔は涙でぐちゃぐちゃで、更に床に膝をつき頭を下げる。
「や、やめて下さいお義父さん!!」
慌てて俺もひざをつき、お義父さんの体を起こした。
「…私は、遊里を責める気などありません。あんな態度をとられて当然な事を俺はしてしまったんです。…それに、記憶喪失になったのは…事故のせいですから。」
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