消えた記憶

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言いながら胸が苦しくなった。 神様はなんて残酷なんだろう。 何故、よりによってあの日からの記憶だけを奪ったのか。 どうして…また遊里に憎まれる日々を送らなければいけないんだ。 今の俺に、それが耐えられるのだろうか……。 幸せな日々は…何故続かないんだろう――――。 一週間後、自宅での療養に切り替える事にした。 もちろん、俺達の家で。 最初は嫌がっていた遊里もお義母さんやお義兄さんの説得で、ようやく頭を縦に振ってくれた。 だが…この一週間、遊里は俺とまともに口をきいてくれていない。 だから不安でいっぱいだった。 だが…俺と遊里は確かに夫婦で、愛し合っている。 子供達だって俺達の愛の結晶だ。 大丈夫。 きっと思い出してくれる。 また笑い合って話しが出来る。 自分に言い聞かせ…俺は心に決めた。 憎まれているのなら、俺の最上級の愛で…遊里を包み込もうと。 そうすればいつか、必ず思い出してくれる。 あの幸せな日々を……。
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