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部屋に戻るとすぐに旦那様が部屋を訪ねてきた。
警戒しながらも部屋に入れると、旦那様の手にはたくさんのアルバムが抱えられている。
「ほら、この写真は遊真と斗真が二才の時動物園に行って…」
パラパラとめくるアルバムには、幸せそうに笑う私と…旦那様と子供達。
本当に幸せそうに…。
どの写真も私と旦那様は寄り添って写っていた。
なによ…これ…。
こんなの本当に愛し合ってるみたいだ。
こんなに幸せそうに笑って…私の涙はなんだったの?
旦那様に抱かれ泣いたあの日は…一体なんだったの!?
それを許せたって言うの…?
確かに今の旦那様は優しい。
私を思いやってくれて、気遣ってくれて…。
だけどそれくらいであの日の事を許せるはずがないのに!
写真に写る私は、どんな風に旦那様を愛したんだろう?
何故許せたんだろう?
思い出したい。
でも………思いだすのが…怖い。
もう一度酷く抱かれれば、きっと思い出したくなんてなくなる。
旦那様を恨んだままでいられる。
このまま優しくされたら…私はなんの為にあの日傷ついたのか分からない―――。
ギシッ。
ソファーから立ち上がり、私はベッドに座った。
「遊里、アルバムはもう良いのか?………!?」
顔を上げた旦那様の目が大きく見開かれる。
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