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「僕はマギルトゥムの英雄になる!」
シーン…
ドッ ワハハハ
「バッカ、じゃねぇの!」
静まり返った村の広場に笑いが起こる。
「魔法を一切使えないお前がどうやって英雄になるんだよ。」
金髪で蒼眼の少年が言う。
「なっ、魔法なんて使えなくても英雄になれるよ!」
黒髪の優しい黒目をした少年が言う。
「はっ、じゃあ俺と勝負しろよ!英雄は誰よりも強くなくちゃなれないだろ!」
「いいよ!やってやろうじゃないか!」
「お前じゃ勝てねぇよ!クロ!ルイはなぁ、もう10個以上の魔法を使えるんだぞ!」
「そうだぞ、止めとけって!」
「おちこぼれじゃムリムリ」
周りの子ども達が黒髪の少年クロを止める。
「うるさい!やってみなくちゃ分かんないだろ!」
「ごちゃごちゃ言ってないで、かかってこいよ。」
金髪の少年ルイはクロを挑発した。
「後悔しても知らないからな~!」
クロはルイに体当たりしようと突っ込んだ。
スッ…ドン
ルイは軽やかに体当たりをかわして唱えた。
『出でよ赤き閃光』
ボッ
「あち~!!」
クロの背中から小さな火が燃え上がった。
周囲の少年の一人が指を指してクロに言う。
「お~い!ヘナチョコ クロ!水はあっちだぞ!」
クロは慌てて指し示す方向に走って行った。
…
ドッ ワハハハ
クロが走り去って行ったあと再び村に笑いが起きた。
「いやぁ、いいもの見た。」
「さすが、ルイ!」
「あいつは本当にヘナチョコだな。」
「魔法を一つも使えないくせにルイに挑むなんてバカだろ。」
などと言って村の子ども達は広場から去って行った。
ルイもいなくなった。
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