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「びしょ濡れで帰ってきて!いったい何をして来たの!」
若い栗色の髪と目をした女性がクロを叱りつける。
「ごめんなさい。」
クロは俯いたままで謝った。
「まぁ、いいわ。入りなさい。」
そう言ってクロをなんらかの施設に入れた。
看板には[緑園]と書かれている。
中にはたくさんの子どもがいた。
「クロ、直ぐお風呂に入りなさい。」
「練習して来てから入るよ!」
そう言って緑園を出て行った。
「アンナ先生、どうしたのアイツ?」
金髪の少年が不意に現れて尋ねた。
「ルイ君!?…あ~ビックリした~、突然現れるんだもん。」
「いや、そんなに驚かないでよ。で、どうしたの。」
「練習だ~ってクロ君が出て行っちゃった。」
「ふうん、何の?」
「言ったら駄目なんだってさ。」
そう言うとアンナ先生はいなくなった。
緑園から数キロ離れた森。
「124、125、126、127…」
ブン ブン ブン
何かを振る音が響く。
「ただいま~!!お腹すいた~!!」
「ご飯出来てるよ。食べたら直ぐお風呂に入りなさいよ。」
アンナ先生がクロを出迎えた。
「あっ!それと、最近、森に魔物が出たらしいから気を付けなさいよ。」
「お風呂~お風呂~♪イエーイ!」
ザパーン
クロはお風呂に飛び込んだ。
「気持ちいい!」
「風呂くらい静かに入れよ。」
「あっ!ルイいたのか!」
「はっ!失敗した。もっと早くに入れば良かった。」
「何を~!」
「なんだよ。入れ墨野郎。」
「フン」
「フン」
クロの背中には左右に二枚ずつ羽の紋様があり、その中心に逆さまの五芒星、その中には二本の剣に刺された髑髏が入っていた。さらに、胸の左側すなわち、心臓の部分には五芒星が円でくくられていた。
クロはその入れ墨を隠している。7才の若さで入れ墨をしているのを他の子どもに見せたくないのだ。ましてや、髑髏の入れ墨など…
背中が燃えて直ぐに去って行ったのには、そう言った理由もあった。
険悪な雰囲気のまま二人はそれぞれで風呂を上がった。
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