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「悪い、待ったか?」
俺は頭の後ろに手を当てて言った。
「颯太に待たされるのは慣れっこだしね」
2人はお互い顔を見合わせ苦笑いしている。
俺も毎回遅刻するのは反省しているのだ。でも、どうしても朝は弱い……。
2人に申し訳なく思い頭を何回も下げて謝った。
俺たち3人は遊園地の入り口を通り抜け、俺が疲れているのに気をつかって彩乃がジュースを飲みに行こうと言ってくれた。
(彩乃、本当に助かる)
照れくさくて言葉に出来ない俺は心の中で思っている。
俺たちは、パラソルの付いたテーブルに鞄を置き、椅子に座った。
「颯太と龍は飲み物なにがいい?」
「ジンジャーエール」
「あ、俺も」
俺と龍がそういうと彩乃は軽く頷いて、店の方に歩いて行った。
「なぁ颯太、知ってるか?」
龍は眼鏡を外して話し掛けてきた。
「何を?」
「最近、この遊園地がピエロを雇ったらしいぞ」
俺は正直ピエロに興味がなかったため、どうでもいいことだったが、冷めた返事をすると龍がすねると思い龍の話にのってやった。
「へぇ、そうなんだぁ。もしかしてあれのことか?」
俺は目線で龍に伝える。
俺の目線の先には子供たちに囲まれ色のついたボールをお手玉のように5つも6つも回しているピエロがいた。
「そうだよ、あれだよ。ピエロって格好良いよなぁ。何でも出来そうだもんな」
(そうか……?俺は別に思わないけどなぁ)
俺はそんなことを思いピエロを見るのを止め下を見ようとした時、急に誰かの視線を感じた。
俺が辺りを見渡していると、ある人物と視線が合う。
先程のピエロだ……
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