第一章~start~

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俺とピエロの距離は多少離れていたが、目線が合っているというのは感覚でわかる。 しばらくすると、ピエロは俺に笑みを浮かべたような気がしたが、俺は目線をそらした。 (なんか気味悪いなぁ……) 俺の様子が変だと気づいたのか、龍が声をかけてくれた。 「大丈夫か? ちょっと顔色が悪いぞ」 俺はピエロが気持ち悪いなんて、龍に恥ずかしくて言えなかった。 「そ、そうか? 全然大丈夫だよ」 俺たちがそんな会話をしていると、向こうから楓がジュースの入った紙コップを3つ持って来た。 「お待たせ、店が混んでて遅くなっちゃった」 俺と龍はパラソルがあるおかげでまだ涼しいが、彩乃は日陰がなかったせいか、額に汗をかいている。 俺は喉が渇いていたので、それを一気に飲み干した。 俺たちがそれを飲み終えると、龍があることに気付く。 「あれ、あのピエロどこ行ったんだ?」 俺と龍は辺りを見たがどこにもいなかった。 彩乃は何のことかわからず俺に聞いてくる。 「ピエロって何のこと?」 「なんか、この遊園地が最近ピエロを雇ったんだってさ」 「そうなんだぁ」 彩乃も俺と同じであまりピエロには興味がなさそうだ。というよりも、ピエロが好きなやつなんて龍くらいなものだろう。 俺たちは休憩を終え、ジェットコースター・お化け屋敷・観覧車などに行った。 遊園地の乗り物をすべて終えると、空はすでに茜色に染まっていた。 「もうこんな時間かぁ」 「今日は楽しかったし、そろそろ帰ろっか」 龍と彩乃は満足そうだった。 「すまん、ちょっとトイレ行ってくる」 俺は今にも小便が漏れそうだった。 「わかった、出口のとこで待ってるからな」 「漏らしちゃ駄目だよ」 彩乃は俺をからかうように言う。 俺は遊園地内にあるトイレに向かった…………
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