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夕方になり人の数も少なくなっていたので、トイレを見つけるのは容易だった。
トイレが目に映ると俺はもの凄い速さで向かう。
俺の我慢は限界にきていた。
便器の前に立った俺は用をたし、手を洗う。
蛇口から出る水の音がやけに響いている。
(はぁ~、スッキリしたぁ)
俺が蛇口をひねり水を止めてトイレを出ようとした時……
個室のトイレのドアがゆっくりと静かに開き、水が勢いよく流れる音がする。
個室の中から誰かが出てくる気配がした。
なぜが俺はそこを凝視する。
なんなんだ……
その個室から妙な視線を感じる……
すると、ついに中から何かが出てくる……
ゆっくり……ゆっくりと……
「ふぅ~、すっきりしたのぉ」
中から出てきたのは、腰の曲がった白髪頭のおじいさんだった。
(ふぅ……、あの妙な視線はこのじいさんだったのかぁ)
俺はなぜか心の中でため息をつき、安堵の笑みを浮かべる。
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