第一章~start~

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夕方になり人の数も少なくなっていたので、トイレを見つけるのは容易だった。 トイレが目に映ると俺はもの凄い速さで向かう。 俺の我慢は限界にきていた。 便器の前に立った俺は用をたし、手を洗う。 蛇口から出る水の音がやけに響いている。 (はぁ~、スッキリしたぁ) 俺が蛇口をひねり水を止めてトイレを出ようとした時…… 個室のトイレのドアがゆっくりと静かに開き、水が勢いよく流れる音がする。 個室の中から誰かが出てくる気配がした。 なぜが俺はそこを凝視する。 なんなんだ…… その個室から妙な視線を感じる…… すると、ついに中から何かが出てくる…… ゆっくり……ゆっくりと…… 「ふぅ~、すっきりしたのぉ」 中から出てきたのは、腰の曲がった白髪頭のおじいさんだった。 (ふぅ……、あの妙な視線はこのじいさんだったのかぁ) 俺はなぜか心の中でため息をつき、安堵の笑みを浮かべる。
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