第一章~start~

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俺は鏡の切れ目に映ったゆっくりと開くドアを横目で見る。 3つある個室トイレの一番奥を…… だが、いくら待っても人が出てこないので少し変に思い、声をかけてみる。 「すいません、誰かいますか……?」 俺は恐る恐る聞いてみる。トイレには俺自身の声だけが響いた。 (おかしいなぁ……、誰もいないはずがないんだけど……) 俺は腕を組み、もう少し待ってみる。 俺は先に行った2人に追い付きたかったので、そろそろ待てなくなり、中を覗いた。 「あの、いるなら返事してもら……え……」 俺は唖然とした。 そこには誰もおらず、ただただ便器の水が流れ続けているだけである。 俺が中を見渡していると、フタが閉じた便器の上に置いてある黒色の携帯電話に気付く。 「これ俺のじゃん」 咄嗟に声がでてしまった。 (なんでこんなとこに……) 俺は不思議に思ったが、2人のことを思い出し、トイレを出ることにした。 開いていた個室トイレのドアを閉め、鏡の前を通り過ぎようとした時…… 俺は鏡を横目で見てしまった……
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