ピエロのあいさつ

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ここはいったい何処なのだろうか…… 日本? いや、日本にこんな真っ暗な場所はない。 目に映るのはどこを見渡しても真っ暗な風景のみ…… (ん……?) どこからともなく足音が聞こえてきました。 辺りに足音が響き渡り、どの方向から誰が近づいているのかわからない。 わかっていることは1つ…… 足音が近づいているということだけである。 それは徐々に大きくなり、辺りを見渡して音の正体を確かめた。 真っ暗な風景の中に薄らと白いものが目に浮かんできました。 それはだんだん近くなり、カラフルな三角帽子、服がみえる。 顔は白く、唇は口紅で真っ赤に染められ、髪は天然パーマのようにくるくるになっている人が見えてきた。 その人は私の目の前で立ち止まり、喋り始める。 「おや? あなたは誰ですか? 僕の名前はピエロの『ジャック』と申します」 ピエロは滑稽な声で喋る。 「あなたのお名前は? まぁそんなことどうでもいいですね。ちなみに初めてのようですし、説明するとここは鏡の中です」 ピエロの甲高い笑い声が響きわたる。 笑ったときの口元がとても気味が悪く思えた。    (鏡の中? どういうことなんでしょう……) 「皆さんは僕のことを面白いとかいいますけど……、僕は自分さえ楽しければいいんです」 ピエロはまだ私に語りかけてくる。 「ピエロというのは、本来は鏡の外には出られないのです。では皆さんが街や遊園地、サーカスなどで見かけるピエロはどのようにして鏡の外に出られたのでしょうか……」 ピエロは今まで私の方を向いていたが、ふと違う方向を見る。 まるで何かを見つけたかのように……
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