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「兄ちゃんって呼んでいい?」
「い、いや…それはちょっと」
冗談じゃない。
『兄ちゃん』なんて呼ばれたら、由香を嫌でも思い出してしまうじゃないか。
躊躇いがちに言うと、彼女は無言になり、泣きそうな表情を浮かべていた。
………………………。
「わかったよー!兄ちゃんでいいよ!」
「本当に!?有難う兄ちゃん!」
仕方なく折れると、ナチは俺に抱きつきながらお礼を言った。
…どうやら俺は、子どもに弱いらしい。
まあそんなことはどうでもいい。兎に角山へ向かうことにした。
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