夕刻・入浴

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李々亜含め、その場にいた全員が沈黙する。 春子は大きく息を吸い、手を背中に回しながら言う。 「私は・・・新宿の、生まれ。」 言うのと同時に、春子は下着を外す。 皆が息を呑む。 それは、春子のスタイルに驚いたわけではなく、彼女の言葉の意味と、胸の右下にある紫の百合の入れ墨によるものだった。 新宿は、『従軍慰安婦問題』を解決する為の場所である。 従軍慰安婦は、当初朝鮮半島の人々が徴発されたが、戦争の拡大と共に侵攻した各地で徴発されていった。 これは、非人道的と後世酷評されるコトとなる。 しかし、最大の問題が起こったのは終戦後である。 従軍慰安婦達の中に妊娠、出産した人々がいることが発覚したのだ。
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