夕刻・入浴

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そして、紫の入れ墨は慰安婦の証。 柄は母親から引き継がれるのだ。 つまり、春子は慰安婦なのだ。 「・・・わかる?」 春子は言う。 「・・・恭介は、何も言わなかったの?」 メイが小さく言った。 春子は小さく頷くと 「初めて・・・生ま、れて・・・初め・・・て、お母さん以、外に・・グス・・・・人って認められた・・・ただ、普通に・・・。」嗚咽を洩らしながら春子が続ける。 「ココに、入れば・・・給料、でっ・・んぐ・・・お母、さんを・・・」 「もういいよ」 それを聞いていた美弥が、泣く春子の頭を優しく抱く。 美弥も目を潤ませながら春子の髪を撫でる 「恭介は、分かってるよ。何もかも。きっと、あなたが助けを求めれば、お母さんを新宿から連れ出す手も考えてくれる。あいつは、そういう奴だから。」 「・・・そうだと、嬉しい。」
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