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「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
この物語の主人公、アット・クレイソンは、現在、崖の上から落下中である。
その高さ、実に1kmは悠に越えており、このまま地面に叩きつけられれば、アットは命を落とすであろう。
「だ、誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
悲痛な叫び声が大空に響きわたる。
なぜ、アットがこんな目にあっているかと言うと、彼は、村近くの山を探検していて、その途中に踏み外して落下したのであった。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
最早、地面はそう遠くない。流した涙が彼の頭上に舞い上がる。
もうダメだ。そう思い、目を瞑った時──
ガシッ!!
力強い感触が、彼の腹部を包んだ。
「危なかったな……」
「その声はぁぁぁぁ……」
彼は涙目で声のした上空を見上げた。
「全く、相変わらず危ないことをするな」
「バ、バ、バンデッドォォォォ!!」
彼は感激の余りに、泣き出した。いや、泣いていたのは今に始まったことでは無いが、今のは感涙である。
この、アットを助けた者の正体は……ドラゴンである。
全長は20mを越え、真っ赤な鱗を持ち、突風をも巻き起こしそうな巨大な翼を持つ。
爪、牙、角は鋭く巨大。しかし、それでいてどこか温かみのある眼を持っていた。
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