第一章「変わった女」

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「ちょい待った」 「やだ」  ほぼ同時に守は拒否を宣言。しかしその拒否権はすでに無効。ユッキーは追いかけて来た。 「え何で付いてくんの?バイバイお疲れサヨナラ」 「進路は?」  最低限かつ最重要。この問いに守はどう出る。 「まだ。」  守も最低限の答えを返す。 「まだって柄沢ね~もう何回も聞いたし。本当に何もないの?やりたいこと。」 「ないねまるっきし。」 「もう、したらどーすんの?何も決めないで行くの?」 「仕方ないんでない?だって、決まんないし。」 「仕方ないじゃないでしょもう~だからとりあえず進路室に行ってさ」 「はいはい分かった行くから」 「って行かないでしょ?実際」 「うん」 「もう!」  どうしようもない守の態度にイライラしながらユッキーは眉間にシワを寄せている。 「大体さぁ進学か就職かどっちかせめてそれぐらい決められないの?」 「それ、だってそれが決まったらあと苦労せんべや大して。」 「じゃあ何?勉強したい?」 「ん~」 「働きたい?」 「ん~」 「じゃあ何?何もしないの?」 「ん~そうだね。うん、何もせんわ。何もしないことを今決めたよ」 「それってニートでしょ?いいのそれで?」 「ニート万歳だべや」 「それって君はいいかもしれないけど親に迷惑かかるんだよ?そうやって生きて行くの?」 「じゃあ死ぬわ。何かいいわもう俺死ぬわ。」 「死ぬとか言わないの!」 「じゃあどうすればいいの?教えてや」 「それは私が決めることじゃないでしょ。柄沢自身が決めることなんだがら。」 「俺自身が決めることなら何であんたそんなにあーしろこーしろ言ってくんの?関係ないじゃんあんたに」 「関係なくないでしょ」 「だから何で?自分自身で決めろとか言っといてそしたら横からあーだこーだ口出してきて。あんた言ってること矛盾してねーか?」 「それは…」  ユッキーは口ごもった。 「あれだろ?担任の見栄だろ?担任としての体裁からそういうことしてるんでしょ?」 「違う!」  守が喋り終わる前に反発したユッキー。 「それは違う。私は本当に君のことが心配だから…」 「…」  二人の間に沈黙が流れる。
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