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「どこか行きたいとこある?」 「あるあるあるっ!」  真奈美が身を乗り出して意気込んだ。 「遊園地! こないだ家族で行ったんだけど、あんまり楽しくなかったの」 「どうして?」 「だって、ジェットコースターとか乗れなかったんだもん。妹がまだチビだから」 「あ、そっか…」 「だから、ね? 連れてって、遊園地」  僕には関係ないけれど、真奈美には妹がいた。  僕と同様、真奈美も子供のいない夫婦に引き取られたんだけど、その1年後、あきらめていた子宝に恵まれたらしい。  けれど、酒屋を営んでいる田代夫妻──真奈美の今の両親は、可哀想な交通遺児を引き取ったから神様が子供を授けてくれたに違いないと、それまでと変わりなく真奈美を可愛がってくれている。  
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