碧の海神

26/26
4151人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
「も、もし退治して頂ければ、このクシナダをスサノオ様に差し上げます」 (げえっ!?) クシナダはぎょっとしてアシナの背中を睨み付ける。 本人を無視して一体何を言い出すのか。 するとスサノオはチラリとクシナダに視線を向け、すぐにアシナに向き直った。 「いや…それは別にいらない」 「………………!!」 かあーーっとクシナダの頭に血が昇る。 怒りとはずかしさで拳がプルプルと震え出した。 (こっちだってあんたなんかお断りよっっ!なんっで好きでもない相手にフラれなきゃなんないのよっ!) ギロッとスサノオを睨み付けると、スサノオは知らん顔で再び盃に口をつけた。 アシナもそんなにあっさり断られるとは思っていなかったようで、面食らったように目をパチパチとしばたかせた。 「……事情はわかった。少し考えさせてくれないか」 しばらくの沈黙の後で、ようやくのことスサノオはそれだけを呟いた。 アシナは慌てて頭を下げる。 「………は。どうかよろしくお願いいたします」 言った後でアシナは、クシナダにも頭を下げるように目で合図をし、ふてくされながらもクシナダはスサノオに頭を下げたのだった。  
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!