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「も、もし退治して頂ければ、このクシナダをスサノオ様に差し上げます」
(げえっ!?)
クシナダはぎょっとしてアシナの背中を睨み付ける。
本人を無視して一体何を言い出すのか。
するとスサノオはチラリとクシナダに視線を向け、すぐにアシナに向き直った。
「いや…それは別にいらない」
「………………!!」
かあーーっとクシナダの頭に血が昇る。
怒りとはずかしさで拳がプルプルと震え出した。
(こっちだってあんたなんかお断りよっっ!なんっで好きでもない相手にフラれなきゃなんないのよっ!)
ギロッとスサノオを睨み付けると、スサノオは知らん顔で再び盃に口をつけた。
アシナもそんなにあっさり断られるとは思っていなかったようで、面食らったように目をパチパチとしばたかせた。
「……事情はわかった。少し考えさせてくれないか」
しばらくの沈黙の後で、ようやくのことスサノオはそれだけを呟いた。
アシナは慌てて頭を下げる。
「………は。どうかよろしくお願いいたします」
言った後でアシナは、クシナダにも頭を下げるように目で合図をし、ふてくされながらもクシナダはスサノオに頭を下げたのだった。
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