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お節介でよく喋り、よく怒る。
初めて会った天つ神に興味津々で、恥ずかしげもなく大きな瞳でじっと自分の顔を見つめ、ためらわずに触れてくる。
天つ神だと知ってからも平伏するようなこともなく、ポンポンと遠慮なく物を言う。
あんな口の聞き方をされたのは生まれて初めてだったが、不思議と腹は立たなかった。
変な女。
それがスサノオのクシナダに対する印象だった。
だが、そのクシナダが悄然とした様子で『幻滅させないで』と言った時は、胸にえぐるような痛みが走った。
自分達、天つ神の存在が人間にとってそんなに大きなものだったのだと、この時スサノオは初めて知ったのだ。
そして自分のしたことでアマテラスをひきこもりにしてしまい、そのことで下界の生活に大きな影響を与えてしまっていたなどとは夢にも思わなかった。
スサノオは初めて沸き起こった不思議な感情を持て余して、ガシガシと頭を掻いた。
「………確かに、あいつにあんなこと言われたままにしておくのは、しゃくだな」
素直でない、いかにもスサノオらしい物言いに、ウズメは襲の裾で口元を押さえてにっこりと破顔した。
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