高天原へ

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この日も眠れずに、クシナダは床の中でじっと天井を見上げていた。 諦めて現実を受け入れたつもりでも、いざ自分の口でそれをウズメに語ってみて、改めて逃れられない運命というものを感じた。 (…私は明日、コシに嫁ぐ……) 一体これから何が待ち受けているのだろう。 どう考えても楽しい人妻ライフにはなりそうもない。 (私の人生って何だったんだろう……) 今まであまりそんな難しいことは考えたこともなかったが、恋の一つもしないまま、人間かどうかもわからない男の元に嫁ぐとなると、さすがのクシナダも人生について考えてしまう。 しかも、姉や母のように死んでしまうかもしれないのだ。 (恋ぐらいはしてみたかったなあ……。あ、でもそんなものしちゃってたら思い残すことができちゃってますます絶望的だわ……) なんだか涙が出そうになり、クシナダは強く目を瞑った。 その時だった。 カタンと戸口で物音がしたかと思うと、バンッと一気に戸が開かれた。 突然のことに驚いて、クシナダは跳び起きる。 部屋の小さな明かりを頼りに目を細めて見ると、なんと立っていたのはスサノオだった。  
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