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始まりは朝靄の中で
まだ日も明け初めて間もない頃、一人の青年が目蓋を擦りながらベッドから降りた。
枕元に置いていた眼帯を手にとり洗面所へと向かう。
「やっぱり早起きは辛い」
顔を洗らいながら呟く。
タオルで顔を拭き眼帯を付けさっぱりとした表情になった青年はどこか古ぼけた扉の前に立っていた。
「今日の注文は何だっけな?」
扉の横に貼ってあるメモを掴むとページを捲る。
「んと、トーマス爺さんちの鍬と肉屋のルーの包丁か」
メモを元の場所に置くと扉を開いた。
開けた瞬間目に飛び込んできたのは鍛冶場だった。
「今日もぼちぼちいきますか」
青年はたのしそうにそう言った。
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