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「……ぁ」
気付いた時には既に斧は目の前まで迫っていた。
(死ぬ、な)
迫る絶望と共に目を閉じた。
「3回までにと言ったでしょう?」
まるで子供に言い聞かすようにゆっくりとした声が聞こえた。
「え?」
目を開けた先に見えたものは賊の斧を受けとめた刀慈の姿だった。
だが、受けとめた物がおかしい。
「いや、手持ちが無くて」
誰に言い訳しているのかわからない。
「……片手」
正確には手のひらの上に持っている石だ。
「流石にひやっとしましたよ」
そう言ってはいるが顔には余裕すら感じる表情を浮かべている。
しばらく、観察しているかのように賊をみつめていたがおもむろに口を開いた。
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