メイラン

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「それにしても、その血走った目、痛覚の麻痺、怪力、理性の崩壊」 受けとめていた斧を弾きながら刀慈は呟く。 「ヘブンズドアの過剰摂取」 「……ヘブンズドア」 いまだに座り込んだままの女隊員は聞こえた言葉に目を見開いた。 三年前まで続いていた大戦末期に使われた薬物だ。 一時的に人間の身体能力を飛躍的に上昇させるがあまりの危険度の高さのためにいまでは使用規制されているほどだ。 「薬だけでよかった。とはいえ、理性が無いなら手遅れですね」 そう言って刀慈は急に辺りをキョロキョロし始めた。何かを探している。
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