始まりは朝靄の中で

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紫月と呼ばれた瞬間青年の眉が跳ね上がった。 「あんた、どこの軍人さんだい?」 「メイランの者でございます」 それを聴いた途端、紫月は額に手をあて溜め息を吐いた。 「なるほど、あの女王がまた何か言いだしたんだね」 軍人は何も答えない。 ただ黙って紫月を見つめる。 「……断れそうにないね」 「そのほうが懸命かと」 紫月は小さく息を吐くと鍛冶場の中に戻り火を消した。
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