始まりは朝靄の中で

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「おーい、クロ!」 紫月がそう呼ぶと部屋の奥から小さな黒猫が走ってきた。 紫月の前でジャンプすると肩のうえに乗った。 「おまたせ。いきましょうか」 クロのあごを撫でながら軍人に話し掛ける。 「あ、そうそう家を囲んで隠れてる人たちに合図しなくて大丈夫ですか?」 軍人の横を通る瞬間に紫月はささやいた。 「……ぬ、気付いていたか」 「気配がだだ漏れ、訓練が足りないじゃないですか?」 クスリと笑うと紫月は歩きだした。
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