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「……ああ、わかりました。了解です」
右手に携帯を持ち、電話越しに会話を交わす。
窓の外からは暖かな春の息吹が入ってくる。これほど気持ちいいものはない。
だって夏って暑いじゃん。冬は冬でかなり寒いでしょ。
「んじゃ切りますよ。あー、はいはい」
向こうが電話を切るのを確認してから通話終了ボタンを押す。
五分か。少し長かったか。
電話内容としてはある人が今から俺の部屋に来るらしい。唐突にかかってきた電話だった。
それでも驚くことはない。その人が来るのは日常茶飯事だからだ。
今までの朝のように髪を整える。寝起きのぼさぼさヘアーはみっともない。
それでもこんな朝っぱらから何をするんだろう。
先週は散歩だとか買い物だった。大方付き合わされただけである。
今日もそんな感じなんだろうけど。
「うらー、入るぞー」
ドアの外から大きな声が聞こえる。
さあ来たぞ、あの人が。
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