第一章 ばあちゃんの宝物(1)

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「きりーつ!礼!」 「先生さよーならー!!」 学級委員長の久賀の号令でクラス全員が一斉に帰りの挨拶を済ませると、康太は一目散に教室の後ろの扉へ向かった。 しかし廊下へ飛び出した所で亮介に呼び止められた。 「待てよ康太!試合出ねぇのかよ!」 「んー今日はパス!なんかやる気出ねぇし。それにさ、今日大事な予定があるんだよね!」 「なんだよぉ大事な予定って!」 「秘密だよ秘密!」 康太はニヤけながらそう言うと廊下を全力で走り、階段を3段飛ばしで降りて行った。 途中の踊場で紗弥を見つけたのでいつものように髪の毛を両手でグチャグチャっと崩してやった。本日3度目だ。 「キャッ!」 「おっとゴメンよ!!」 「もう!何すんのよ!待ちなさい康太ー!!」
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