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私は、撮影が終わったと同時に、フゥ…と溜め息をついた。
すると、監督が、私の所へ来た。
「杏奈ちゃん、今日は、お疲れ様…。
杏奈ちゃん…どうかした?
君が、撮影中に、ボーッとするなんて、珍しいね…。
体調が、ひどかった時も、撮影中にボーッとすることなんて、なかったのに…。
昨日の撮影の後に、なんかあった?」
監督は、そう言って、心配そうに、私の顔を覗き込んだ。
「いっ…いえ…。
何でもないです…。
半年ぶりの撮影に緊張しすぎて、一瞬、台詞が飛んじゃって…。」
私は、そう言って、苦笑いをした。
“この映画の主人公:彩音のように、和哉より神楽を好きになりかけてるかも…なんて、そんなこと…言えるわけないよ…。
この業界で…そういう話は、バレると、一気に広がる。
もし、そうなったら、和哉にも、神楽にも迷惑がかかってしまう…。
この想いは、何が何でも、私の心の中だけにしまっておいた方がいいんだよね…きっと…。”
私は、そう心の中で呟きながらも、監督と話をしていた。
そして、スタッフさんの片付けが終わると、みんなで、車に乗って、ホテルに戻った。
私の隣には、神楽が座っていて、私は、まともに神楽を見ることができず、狸寝入りをする事にした。
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