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そして、また、私と和哉の間に、しばらく、沈黙が流れた。
『杏奈…?』
電話の向こうから、和哉の優しい声がしたので、私は、涙を拭った。
「和哉…。
私…神楽が好き…。
だけど…和哉も好き…。
この前…久しぶりに、神楽に会って…改めて…神楽の変わらない私への想いや…優しさを実感して…正直…今…心が揺らいでる…。
でも…和哉のことも…大好きだし、私…どうすればいいのか…わからないよ…。」
私は、そう言った後、ずっと涙が止まらなくなった。
『ごめん…泣かせるつもりはなかったんだ…。
けど…俺…杏奈と仲良くなる前から、神楽とは親友で…神楽は、俺が、杏奈を好きなのを知った時…自分も好きなのに、応援してくれたんだ…。
自分の好きな気持ち、必死にこらえてたんだと思う…。
アイツが、昨日みたいに泣くなんて珍しいし…よっぽど、杏奈のこと、好きで、仕方なかったんだと思う…。』
和哉は、静かに言った。
「でも…それって…和哉と私が、別れるってことだよね…。
和哉は…それでもいいの?私と別れても…和哉は…辛くないの?」
私が、そう言うと、しばらく、沈黙が続き、電話の向こうから、すすり泣く声が聞こえてきた。
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