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私は、何も言えないまま、ずっと、神楽の腕の中で、泣いていた。
神楽は、そんな私を、優しく、何も聞かずに抱き締めてくれた。
10分程して、樹李亜が、私の部屋に来た。
入って来た途端、樹李亜は、部屋の入り口で抱き合ってる私達を見て、後退りした。
「杏奈ちゃん!?
入っても…いいのかなぁ!?」
「あっ…ごめん。
大丈夫だよ…。」
私は、樹李亜の声に、慌てて、神楽から離れ、涙を拭った。
「神楽…ごめん。
少し…ここで、待ってて!!」
私は、樹李亜を中に入れ、神楽には、入り口で待ってもらうことにして、部屋のドアを閉めた。
そして、樹李亜と私は、奥の洗面所へ行った。
樹李亜は、泣いていた理由を聞かずに、私の目の腫れを隠すメイクをしてくれた。
そして、20分くらいして、完全に目の腫れが隠れ、いつもの、女優“冴木 杏奈”が、鏡に映し出されていた。
いつもより、厚化粧なはずなのに、そんな風には見えず、いつもの私が、そこにいた。
「やっぱり…樹李亜は、すごいね!!
完全に、目の腫れが分からないし、いつもの私と同じメイクだよ!!」
「そりゃあ…ね。
私もプロのヘアメイクアーティストだからね!!」
樹李亜は、そう言うと、鏡越に、ピースサインをした。
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