1594人が本棚に入れています
本棚に追加
神楽は、じっと携帯を見つめた。
「おっ…俺のメールにも書いてる…。
『俺は…もう、助からないから…お前が、俺の代わりに…杏奈を守ってくれ!!』って…。
そんなの…そんなの…無理だよ…。
杏ちゃんは、和兄の彼女なのに…。
いくら…俺と杏ちゃんが、昔…両思いだったって言っても…俺には……杏ちゃんを…和兄から、奪うなんて…できないよ…。」
神楽は、そう言ってしゃがみ込み、床を叩いて泣き出した。
私は、そんな神楽を見て、愛おしいと思った。
本当なら、和哉に、振られたようなものだし、泣いてるはずなのに、昨日、泣き明かし、目を腫らすまで泣いた私は、何だか、気分が、少し、楽になっていた。
私は、泣いてる神楽を抱き締め、背中を撫でた。
「杏ちゃん…杏ちゃん…和兄が…いなくなる…なんて…俺…いやだよ…いやだよぉ…!!」
神楽は、そう泣き叫んだ。
私は、そんな神楽を、強く抱き締めた。
後ろで、樹李亜が、目をウルウルさせながら、立っている。
「神楽…ほら…泣いてても、仕方ないよ。
今は、ご飯を食べて、撮影に備えなきゃ…ねっ…。」
私は、そう言うと、ニコッと笑って、神楽の肩をポンッと叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!