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神楽は、涙を拭いながら、立ち上がった。
「杏ちゃんは…辛くないの!?
和兄が、病気だからって…俺と付き合えるの!?」
神楽は、そう言って、私を、じっと、見てきた。
「…辛い…辛いに決まってるじゃない!!
だから、あんなに、目を腫らしてたんじゃない!!
いくら…神楽のことが大好きでも、和哉の代わりになんて…そんなこと…できるわけないよ!!」
私は、そう言うと、泣きそうになった。
でも、その途端、神楽が、私を抱き締めた。
「ごめん…。
そうだよね…。
杏ちゃんが…そんなこと…できるわけないよね…。
本当に…ごめん。
和兄は、絶対に、いなくなったりしない!!
杏ちゃんと付き合うなら、和兄が、病気の今じゃなく、和兄が、ちゃんと元気になってから、正々堂々と奪いに行く!!」
神楽は、そう言って、私から離れると、優しく微笑んだ。
「…かっ…神楽!?
奪うなんて…そんな…。」
私は、そう言って、顔を真っ赤にして俯いた。
「ほらほら!!
2人とも、ご飯食べなきゃ、撮影の準備に間に合わないよ!!」
樹李亜が、私と神楽の背中を後ろから押しながら言った。
私と神楽は、樹李亜に促され、食堂へ向かった。
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