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私と神楽のその日の撮影は、ボロボロだった。
何度やっても、楽しいシーンのはずが、涙が出てきてしまって、ちゃんと、演技ができなくて、監督は、そんな私達に呆れて、その日の撮影は、中止になってしまった。
他のメンバーだけの食堂のシーンを撮って、私達は、全員、ホテルに戻った。
私と神楽は、ホテルに戻ると、監督の部屋に呼ばれた。
「今日は、一体、どうしたんだ?
トップ俳優とトップ女優の君達が、撮影中に、取り乱すなんて…なんか…あったのか?」
2人して、監督の部屋に行くと、監督は、そう言って、心配そうに、私達の顔を覗き込んだ。
私と神楽は、しばらく黙り込んだ。
“和哉のこと…言っていいのかなぁ!?
でも、私達は、女優と俳優で、どんなに辛いことがあっても、演技に集中しなければいけない…。
だけど…今回ばっかりは…さすがに、理性をコントロールできない…。
監督を信じて、正直に、和哉のことを話して、相談に乗ってもらった方がいいかなぁ?
それとも、こういうことは…社長に相談に乗ってもらった方がいいのかなぁ?”
そう心の中で呟きながらも、私の目からは、自然と涙が溢れだしていた。
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